月初めにリセットです
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下の続きです↓
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「ん、どうした」
「行こう。僕たちがいたら、空が見えないよ」
ああ、そう答えて彼に手を引かれた。もし、今日このタイミングで殻を脱け出さなければ、あのしわくちゃな羽をピンと延ばして、あいつは空を飛んでいたのだろうか。俺たちはそれを見て、網を持って追いかけ回していたのだろうか。
そんな想像が、何だか不思議なものに感じられた。
俺たちは人間だ。蝉たちの何百倍、外の世界で暮らすんだ。その時間を、命を繋ぐためだけに使ったりしない。他にも沢山のことが出来る『時間』があるのだから。それを、俺はどう使うのだろう。彼は…湊は、どんな未来を過ごすのだろう。
俺を引く彼の手には力が籠もっていた。また泣きそうなのを堪えているのかもしれない、まだ自分のせいだ、と悔やんでいるのかもしれない。
ただ俺はそのまま彼に引かれ、じりじりと太陽に焼かれていた。触ると火傷をするのではないか、と思うほど熱そうなコンクリートを歩きながら。
その間俺たちは、何も話さなかった。
↓続き3
「行こう。僕たちがいたら、空が見えないよ」
ああ、そう答えて彼に手を引かれた。もし、今日このタイミングで殻を脱け出さなければ、あのしわくちゃな羽をピンと延ばして、あいつは空を飛んでいたのだろうか。俺たちはそれを見て、網を持って追いかけ回していたのだろうか。
そんな想像が、何だか不思議なものに感じられた。
俺たちは人間だ。蝉たちの何百倍、外の世界で暮らすんだ。その時間を、命を繋ぐためだけに使ったりしない。他にも沢山のことが出来る『時間』があるのだから。それを、俺はどう使うのだろう。彼は…湊は、どんな未来を過ごすのだろう。
俺を引く彼の手には力が籠もっていた。また泣きそうなのを堪えているのかもしれない、まだ自分のせいだ、と悔やんでいるのかもしれない。
ただ俺はそのまま彼に引かれ、じりじりと太陽に焼かれていた。触ると火傷をするのではないか、と思うほど熱そうなコンクリートを歩きながら。
その間俺たちは、何も話さなかった。
↓続き3
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